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不妊症についての基礎知識

2. 不妊症の原因


  1. 不妊原因の割合
     不妊症には多くの原因があげられます。大きくわけると女性側の原因と男性側の原因、あるいはその両方の原因とにわけられます。最近の傾向として男性側の原因が増えている傾向にあるといえます。大まかにその割合を下に示しました。

    妻側原因
    (A) 排卵障害
    (B) 卵管因子
    (C) 子宮因子
    (D) 子宮内膜症
    15%
    10%
    5%
    15%
    夫側原因
    (E) 精子因子、性交障害
    35%
    原因不明不妊
    (F) 明らかな不妊原因がない
    20%
    妻側+夫側原因
    (G) 妻側+夫側原因
    10%

    ここにあげた原因の割合はあくまでおおよその割合です。また、合計してもちょうど100%にならないのは、いくつかの原因を重複してもっている場合があるからです。これからもわかるように従来不妊症というと、妻側に原因があるとして、まわりからつらい立場に置かれていましたが、決してそんな事はありません。夫側にもかなりの割合で不妊原因があることがわかります。しかし、この不妊原因の割合がどうであれ、またどちらに原因があるにせよ、治療する医療側としてはカップルとして一組のユニットとして考えております。ですから、どちらに原因があっても夫婦で取り組むことがとても重要です。

  2. 不妊原因の内容
    • 排卵障害
       毎月きちんと排卵(卵巣から卵が排出される現象)しない場合です。その結果、月経の周期がバラバラになり(生理不順),あるいは何ヶ月間も月経がない(無月経)こともしばしばあります。ですから、いわゆる生理不順の方や無月経の方は、排卵がうまくおこっていない場合が多いのです。
      (詳しくは本文「不妊症の治療法」のうち「(2)排卵障害の治療」を参照してください。)

    • 卵管因子
       左右2つある卵管は、妊娠が成立するために3つの重要なはたらきをになっています。1つは卵巣から排卵された卵(子)を卵管の内にとりこみ(ピックアップ)ます。2つめの役目は卵管の内にとりこんだ卵と精子が出会い、受精する環境を整えることです(受精)。そして、3つめの役割は受精した卵を子宮へ輸送することです。ですから、何らかの原因(多くは炎症)で卵管がつまっていたり(卵管閉塞)、卵管の周囲に癒着がおこっている(卵管周囲癒着)場合は重要な不妊の原因となります。
      (詳しくは本文「不妊症の治療法」のうち「(7)体外受精−胚移植法(IVF-ET) 」を参照してください。)

    • 子宮因子
       子宮は受精して発育した卵(胚)を子宮の内腔(子宮内膜)に接着させ(着床)、発育させる重要な役目をになっています。ですから子宮筋腫やポリープが子宮内腔ににできていたり、胚を育てるはずの子宮内膜が充分に環境を整えられないと着床障害となり、やはり不妊原因となります。その他、先天性の子宮奇形(子宮中隔や重症な双角子宮)は不妊や流産の原因となります。

    • 子宮内膜症
       子宮内膜症とは、子宮の内腔をカバーしている子宮内膜という粘膜が子宮内腔以外の場所にとび火して、そこで増殖する病気です(とび火しやすい場所は、卵巣や骨盤の内の腹膜です)。子宮内膜症は、卵管や卵巣、子宮の癒着をおこし不妊症の原因となります。また、単に癒着ばかりではなく、内膜症そのものが不妊原因となることもわかっています。最近、この子宮内膜症を原因とする不妊症は増加傾向にあります。月経痛や性交痛のある方は要注意です。
      (詳しくは本文「不妊症の治療法」のうち「(3)子宮内膜症による不妊の治療」を参照してください。)

    • 男性不妊
       男性の異常が不妊の原因になることは言うまでもありません。その代表的な異常は精子の数が少ない例(精子減少症)や、精子の運動が悪い例(精子無力症)、あるいはその両方の合併した異常(精子減少無力症)などです。このような精液の異常のほか最近では、勃起不全(インポテンス)や射精障害による不妊も増えています。しかし、有効な治療法も開発されていますから諦めないでください。
      (詳しくは本文「不妊症の治療法」のうち「(4)男性不妊症の治療法」を参照してください。)

    • 原因不明不妊 -unexplained infertility-
       不妊症となる原因があるからこそ不妊症になるわけですが、現実には不妊症の一通りの検査をおこなっても、全ての検査に異常がない例が少なくありません。これを原因不明不妊-unexplained infertility-(説明不能な不妊)といいます。この中には今後原因が明らかになるものもあると思われます。
      (詳しくは本文「不妊症の治療法」のうち「(5)原因不明不妊の治療法」を参照してください。)

    • 妻側不妊+夫側不妊の合併